4.経営革新
生徒・保護者を救済する
「放課後等デイサービス」

「会社を変える覚悟はあるか」
その問いに応えられる人物こそ、真の『経営者』
「会社を発展させたかったら、トップを変える必要があります」
忌憚のない意見、試すような視線。
しかしこれを受け入れる度量があるならーー
グッドパートナーズの担当者はそう心に願いながら、強い視線で設立者を見つめた。
学校にはない「療育」で、子どもたちを支えたい。
『放課後等デイサービス』というものがある。一般的には「障害児の学童」として知られている福祉サービスで、個別療育や集団活動を通して児童の自立を助けるというものだ。
「個々人の特性に合わせた療育を受けられる」
「小集団の中で社会性を身につけられる」
「家族のサポーターとしての役割を担う」
「医療」ではなく、「療育」という観点で子どもたちを支援し、自立まで支える。
これらが放課後等デイサービスの特徴だ。
パッと見はなんら変わりのない子どもたちばかりなのに、なぜか授業中じっとしていられない、忘れ物が多い、宿題をしてこない、同じ場所のトイレしか使わない……それぞれに、ほんのちょっとの“違和感”のような課題を抱えている子どもたち。
『放課後等デイサービス』ならば、学校とは違った形態で彼らを助けることができるかもしれない。自分もこのように心豊かな方法で、子どもたちを支援したい。
そんな熱い思いで、設立者は施設を立ち上げた。
“引きこもり”への不安が消え、
保護者の顔がほころんでいく。
施設には15時半頃、学校帰りの子どもたちがやってくる。
運動をして楽しむ子どもいれば、学習室で宿題に取り組む子どももいる。ひとりひとりが自由に時間を過ごしている。この施設がとくに力を入れたのは、「体を動かす」ことだった。体を動かすことで脳が受ける刺激が、彼らの抱える課題に良い影響をもたらしてくれるのだ。
子どもたちが、ゆるやかにではあるものの、変わっていくのがわかる。授業をしっかりと受けるようになり、忘れ物なども減る。なにより、保護者の顔つきが明るく変わっていくのだ。
「もしかして、このまま引きこもりになってしまうのでは…?」
そんな不安にとらわれ、解決策が見出だせずに悩んでいた保護者に笑顔が戻る。
子どもを見つめる瞳の色が、やわらかく、さらにあたたかさを増すのを見て、彼は思った。
「これは、子どもたちだけではなく、親や学校の先生をも救う方法だ」
理念だけでは運営できないーー。
施設を守るための選択。
放課後等デイサービスは、県内でも4施設に展開できるほどに成長。
フランチャイズの本社を立ち上げ、遠方にも加盟施設ができていた。
しかし、ひとつだけ問題点があった。ーー資金繰りだ。
設立者である彼は、企業ではなく、小学校という教育機関の出身。
資金繰りには明るくなく、いつしか経営は自転車操業に近しいものになっていた。
「社会的な理念だけでは、運営を回していくのはむずかしいのだ…」
そう痛感した設立者は、紹介で知ったグッドパートナーズに連絡を入れた。
自分の経営手腕をただし、この施設を守ってほしいーーその思いで。
経営者を変える選択を突きつける。
その厳しさに宿る真摯さ。
「このようにすばらしい施設をなくしてしまうなどもったいない」
連絡を受けたグッドパートナーズも、設立者と同じ思いを抱いた。しかし、担当者がまず行ったのは、「経営を引き継ぐ会社、もしくは経営者を探すこと」ではなかった。施設を訪れ、こう問うたのだ。
「会社を発展させたかったら、トップを変える必要があります。その覚悟は、ありますか。」
グッドパートナーズからの厳しい言葉、厳しい視線に、「ただのサポートではないのだ」と感じる。
しかし同時に、信頼できるとも思えた。
こんなにも真っ向勝負で切り込み、かつこのように真摯に問うてくれるコンサルティング会社なら、きっと事業を良い方向へ持っていってくれると。
「お願いします。わたしはこの施設を、子どもたちから、ーー親御さんから取り上げたくはありません」
担当者は視線をやわらげ、うなずいた。
「では、早急に動きましょう。良い企業をかならずご紹介します」
独自の情報網から、最適な企業を見つける。
守られた“子どもたちの笑顔”。
独自の情報網をもつグッドパートナーズは、すぐに施設を引き継ぐにふさわしい人物を紹介した。
話はすぐにまとまった。受け皿となった企業は現在、フランチャイズの本部として全国30施設をとりまとめている。
しっかりした運営基盤ができたことに加え、グッドパートナーズが定期的に財務面をチェックすることでさらに経営が安定し始めたのだ。
「ありがとうございます。これからもこの施設から、たくさんの子どもたちの笑顔を届けることができます」
人は知らないうちにでも心に理想を秘めている。経営者であればなおのことだ。
しかし、その中でも強い部分、弱い部分があるのが人間だ。
それは放課後等デイサービスが教えてくれる
「人それぞれに個性がある」ということにも通じるのではないだろうか。
理想は理想であると認め、それを求める自分の力量を正しく把握すること。
そして、誰かの厳しい意見にも耳を傾ける器量をもつこと。
そのための覚悟を問うのがグッドパートナーズであり、
それに応えることができる人物こそが、真の『経営者』と言えるのだろう。