後継者不在、経営困難な企業がM&Aにより経営再建した事例 後継者不在、経営困難な企業がM&Aにより経営再建した事例

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2.M&A

シナジーを活かした
周辺産業へのM&A

M&A

M&Aは “人の縁”
「あなたにお願いしたい」
という
企業同士の思いが、
“シナジー”を生む

「うちの学校、どうにもうまくいかなくて。そちらが運営してくださるなら安心なんですけれどね」
そんな会話をしていたとわかったのは、無事M&Aが終わったあとのことだった。

経営の打ち手、後継者問題。
八方塞がりの状況が自動車学校に迫る。

自動車学校というのは、学生の進路が決まった秋から冬が繁忙期だ。
その中でもとくに昨今は、格安・短期で免許が取れる合宿免許取得に人気が高まっていた。
また、厳しい事業環境の中で、事業を継承してくれる人物もいない。
とある自動車学校の社長はこの現状に悩んでいたが、明確な打ち手が見出だせずに悩んでいた。

繁忙期の人手不足はもとより、閑散期の運営もネックになっていた。
許認可事業のため、一般企業のように目新しい企画を打ち出すことや、他の事業を同時に行うことはむずかしい。
さらに時間のあいた指導員は生徒の送迎などを行っていたが、それも効率的とは言えなかった。

「どうすれば事業がうまくいくのか、誰を後継者にすればいいのかわからない…」


財務・経営状況。
M&Aに必要な要素を丁寧に洗い出し、
シナジーを明確化する。

そこで声がかかったのがグッドパートナーズだった。
まず把握するべきは「財務状況」。しかし社内の財務状況をすべて把握している人物は社内にいなかった。
唯一わかるのは税理士のみ。企業の状況、とくに財務状況を把握するために、税理士の協力は不可欠だった。

しかし、社長が依頼したコンサルティング会社とはいえ、グッドパートナーズが外部の人間であることには変わりない。
理解をいただくために何度も税理士事務所に足を運んだ。

「このままでは倒産してしまいます。どうかご協力いただけませんか。」

税理士の許可を得て、会社の実情をすべて把握するまでに要した時間は、およそ半年。
だが担当者は一切、手を緩めることはなかった。
通常のM&Aでは1〜2ヶ月ほどで企業内容を把握し、案件化できるのだが、ここを省いてしまうと企業の価値が損なわれてしまう。
「どのようなシナジーがあるのかを明確にしなければ、双方にメリットはない」

ここに引き継いでもらいたい
そう思える企業へと縁をつなぐ。

グッドパートナーズが声をかけたのは、とあるタクシー会社。
以前より事業を拡大したいという経営者の声をもらっていたところに、事業間の相性のよさを感じたのだ。
財務状況を整理したのち、譲渡後にスケールメリットやシナジー効果により収支改善がどの程度見込めるか。今後の事業計画などを綿密に立て、案件を紹介した。

「地方の交通行政・インフラを支える者として、我が社にも自動車学校を存続させる使命がある。うちでよければぜひ、その事業を引き継がせていただきたい」
タクシー会社の経営者は、答え、さらにこう続けた。

「実は、弊社の創業の地も同じ地区。何かしら縁を感じるところもあるんです」
利害をも超えた言葉に、譲渡する側の経営者も心を打たれた。

「ここになら、ぜひ事業を引き継いでもらいたい…」


はじめて見える“危機感”が、
社員の意識を変えていく。

あたらしい経営者が行ったのは、まず会社の数字を社員のオープンにすることだった。
現在の財務状況、そしてそこから得られる社員自身の給与が可視化されたことで、さらに社員には「このままではいけない」という危機感が生まれた。
やっとスタートラインに立ったのだ。

若手事務職員たちは自分たちでインスタグラムといったSNSを更新し、生徒とのコミュニケーションを図っている。

「どうやったら生徒に興味を持ってもらえるのか?」「よい接客とは何なのか?」

つねにあたらしいものを探す視線が生まれ、社員の意識がどんどんと変わっていくのがわかる。


継続的な経営支援(アフターM&A)で
社員の不安を払拭。
双方の強みをかけ合わせる経営がはじまる。

指導員の負担となっていた生徒の送迎業務も、タクシー会社という強みを活かして送迎することを検討中だ。
これにより指導員の負担は軽減され、本来の業務に集中することでさらに社内の業務効率があがっていく。
それぞれの企業のよさが活かされた形になってきているのだ。

さらに定期的にグッドパートナーズを交えた社員のミーティングを行い、継続的なコンサルティングを行うことで、円滑に事業が継続するだけではなく、「経営者が変わる」という従業員の不安も払拭することができた。

そうしたある日、言われた言葉に担当者はおどろいた。なんと双方の経営者は以前からの知人だったというのだ。
「実を言うと以前、冗談交じりに話していたんですよ。『そちらにうちの事業を引き継いでいただけたら』って」

現在、わずかずつだが経営は確実に改善されている。
「インスタ見ましたよ」「生徒からこんな声をもらいました」
ーー そういった声が交わされるようになったのも、大きな変化だ。

社風を変える、ということは容易ではない。
けれども、変わらなければ会社を救うことはできない。
そこにあったのは、人の思いだ。

ただ「企業を結びつける」だけではなく、「あなたならお願いできる」という
信頼関係なくしては、大切な事業を手渡し、受け取ることはかなわない。
経営者同士の思いをつなぐーーそれこそが、M&Aの本質なのだろう。